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世界最古の印刷による音楽辞典、ティンクトリスの「音楽用語定義集 (1494版)の最初の項目が"Alamire(アラミレ)"です。 当時、音楽を志す人は誰もが知っていなければならない言葉であったことでしょう。 |
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中世の音楽は6音音階 Hexachord (ヘクサコード。音名では例えばC-D-E-F-G-A)で出来ていました。 10世紀頃にGuido(グィド)という人が、それらにUt-Re-Mi-Fa-Sol-la(ド-レ-ミ-ファ-ソ-ラ)という階名を与えました。 当時は記録する材料が貴重であったため、下の図のように、手の指に名前を付け指導したようです。 Ut(ド)の音は、音名でCかFかGかの3種類で、音階がそこから始まるのでした。 グィドの手では、親指の先から順にド-レ-ミ-ファの順で階名が書かれています。 |
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Peter van den Hoveという人が、当時の音楽楽譜の美しい写本を出版しました。 出版に当たり、音楽家なら何を意味するかすぐ解るAlamireという言葉を戴き、工房の名前とすると共に、自分の名前までPierre Alamireと改名までしてしまったのだろうということが容易に想像されます。 現在でも我々の鑑賞に耐える美しい豪華楽譜は彼の功績の1つといえるでしょう。 |
ヴォーカル・アンサンブル アラミレは、中世・ルネサンスの声楽アンサンブル専門の団体として、このような歴史を踏まえ、創立にあたり指導者花井哲郎が命名したものです。 (窪田 純 記) |